お茶と農薬について

お茶と農薬について

様々な国の有機規格

最近 某2大週刊誌で「日本茶は農薬まみれ それでも飲みますか?」・「日本茶は農薬まみれ」と日本茶の農薬に関する記事が載っていましたが、これって昔から言われていることで様々な問題を抱えているのです。

※週刊誌記事の内容には触れません、気になる方は買って読んでください。

私自身はすべての日本茶が農薬まみれとは思っていませんが、お茶には農薬を使わざる負えない事情もございます。

日本茶と農薬の問題が切れない理由として

その一 地域的要素

「お茶は南方の木」これは中国茶の有名な本 茶経の最初の言葉です。
南方とは、だいたい上海南部から南の地方を指しています。
ですからもともと九州以外の地域はお茶の生育北限に近く、お茶の生育環境は厳しく肥料を使いがちになるのですが、肥料が多いいと害虫が付きやすくなり 農薬も使われます。

その二 安全神話

日本国内での農産物の農薬検査が強制ではない。これは、日本国内で使用許可されている農薬なので検査する必要がないとの事ですが、使用許可されていても濃度数十倍となるとどうなのでしょう?
※一部農協では抜き取り検査なども進んでいますが、全数ではありません。

その三 お茶の木の特性

茶樹は収穫が始まると数十年にわたり収穫されるのであるが、その数十年間の害虫を予防しながら生育させるために農薬が茶樹に蓄積することもある。 また茶畑の周囲で作られる単年草の野菜などに撒かれた農薬が茶畑に長年飛来するとそれが蓄積されることもある。

私見ですが

日本茶の場合国内流通時に農薬の濃度チェックをしていないのが最大の問題のように思いますし、実際週刊誌で「日本茶が農薬まみれ」とか過激なタイトルが付く最大の理由ではないかと思っています。

中国茶と農薬

中国輸出検疫検査書類

過去にあった農薬問題

それでは中国茶はどうかと言うと2000年代当初烏龍茶のトリアゾホス問題が発生し この農薬トリアゾホスは国際的に使用不可農薬として生産を中止しているにもかかわらず烏龍茶から検出された事例です。

時を同じくしてJTが輸入している冷凍食品からも農薬が検出される事件もありました。
※これは冷凍食品工場労働者の不満から製品に直接農薬をかけるなどの刑事事件にもなりました。

その一 地域的要素

お茶の生産地

中国では昔からお茶の生産がされ、それぞれの産地でその地域にあったお茶を生産されています。 中国のお茶の産地は一般的に上海から雲南省挟んだ周辺に多いのが特徴で、茶樹が土地に与える負担も少ないのです。結果肥料も少なく済みます。

日本と比較するとかなり南なのがわかるでしょうか?

その二 ヨーロッパ市場に向けた改善

これらを受け 日本では予防措置として、日本に到着した烏龍茶に関してはすべて、その他の中国茶に対しても半分の確率でモニタリング検査が義務化されます。

さらに中国側も輸出用の中国茶には、輸出時に中国検疫局(CIQ)による10種類にわたる農薬の検査徹底し、この検査を受けずに輸出されることはありません。

個人輸入やインターネット輸入などはは例外ですが、正規の輸入手続を経て流通している中国茶に関しては農薬の安全性は問題ありません。

※中国お茶市場はヨーロッパを最大の市場と考えており農薬に厳しいユーロ規格に合わせて作られることが多いです。

その三 過去の農薬問題の原因は

中国の茶畑は古くから、地方の畜産公司と言われる言われる国の管轄でした。これら地方ではその土地にあったお茶しか生産されおらず、土地に対する負担が少ないのが特徴です。

前述のトリアゾホス問題も茶樹に使用したわけではなく 茶畑周辺の野菜の収穫に使われた結果 まかれた農薬が浮遊して茶樹についたと言われ、茶樹に直接農薬をまいたわけではないというのが事実です。

これからの日本茶と中国茶の農薬問題

お茶を生育する上で農薬は切っても切り外せない問題です。

私的に言うと肥料を使わない農産物は痩せていて美味しくないのも事実ですし、農薬を使わないと手間が増え、生産量が減るのも事実。

ですから、皆がルールを守る 性善説を止めて国産、海外産、同じように基準を設けるのが重要かと思います。

農薬とトレーサビリティ

HACCP義務化により日本国内で流通される農作物のトレーサビリティはこれから本格化します。

もし問題があった時には、生産地まで追跡できるようになると思います。※輸入品なら輸入元

これにより、日本国内での農産物のトレース性は向上します。

農薬の事前チェックも進むでしょう。

慶光茶荘では2021年6月からのHACCP完全義務化にともない、輸入茶葉のトレーサビリティを徹底しています。