中国茶の産地の紹介
中国茶の産地の紹介
お茶は南方の嘉木なり
茶聖 陸羽をご存知であろうか? あの茶経を書いた御仁である。
唐代にお茶に関する様々な事をまとめ書いたのが茶経であるが、この話をしだすと長くなるので、・・・
とにかく唐代に出版された茶経が日本茶も含め最古のお茶の聖典であることは間違いない。
その茶経の書き出しがこれである「お茶は南方の嘉木なり」 よいお茶の木は南のお茶の木ですよと最初に書いてあるんです。
※ここで言うお茶とは お茶の木から出来ているものことで 杜仲茶や菊茶等「六大茶分類」で「茶以外の茶」に分類されるものの産地は含みません
※六大茶分類に関してはコチラから
南方とはどこ?
陸羽さんは記録上によると当時の都 長安(現在の陝西省西安市)と武漢のあいだにある湖北省天門市付近の寺にいたとある
で中国でのお茶の主要産地を緑で塗ってみると確かに天門市より南側に集中していますよね。
ちょっと地図ではわかり難いですが当時の都 長安は陝西省にあるのでお茶を献上する意味では 都には良いお茶はない 良いお茶は南にあるのですと言っているのかも?しれません。
最古のお茶の木は
実際お茶の最古の原始林は雲南省から貴州省・広西チワン自治区周辺と言われており、温帯に近いところがもっともお茶の木にストレスの少ない環境であろうと想像できる。
実際地図を見ると緑で塗った周辺でもお茶の生産はされているが 日本と位置を比べると日本がかなり北側にあるのがわかるでしょう。
日本での お茶環境は地理的はストレスが高いのか? 生産性のためか? 品質のためか? さまざまな品種改良がされてはいるものの 代表的な品種「やぶきた」に集中されています 「やぶきた」は日本茶生産量の70% 静岡に至っては90%近いとされていますし、それ以外の品種もかなり少ないのが実情です。
中国では品種改良が進まなかったゆえの多品種
日本では品種改良が進んだ結果 日本茶にあい 寒さに強く 害虫に強く など改良が進み世界的に見ても お茶生産地の北限にまでになりました。 しかしその結果品種が「やぶきた」に集約されてしまいました。
中国では古くから名前の通った茶葉が多く 現在でもお茶の産地となっているのは数百年以上前から名の通った生産地ばかりで、お茶の生産地の広がりはありません。
これは 中国で茶は地方政府が管理しているため 地方政府内での特産物として名前を大事にされて、それゆえにお茶の品種改良が進まず 集約されなかったと思われます。
例えば、福建省産の普洱茶や 広東省産の龍井茶を欲しがる人はいないということですね。※このようなお茶はありませんのでご注意ください。
それぞれを代表するお茶
ちょっと話が、それましたが品種の話は別の機会に 話を戻して、それでは地図を補完しながらそれぞれの銘茶をご紹介
安徽省
昔から、安徽省は美味しいお茶で有名です。中国十大銘茶の三種類は安徽省のお茶です。安徽省山岳地域では、季節機構の変化が著しく、日中と夜間の温度差は大きく お茶を生産するのには最適な環境ですで茶文化の肥沃な土壌に根ざしておいます。
特に中国緑茶の重要な茶生産、卸売、流通の中心地です。
代表茶:六安瓜片・黄山毛峰・太平猴魁・祁門紅茶・安徽花茶
湖北省
湖北省のお茶には長い歴史があり、かつては全国のお茶の輸出のための3つの主要河港の1つでした湖北省西部には山岳地帯を配し、土壌は様々な微量元素が豊富で水質が良いため、湖北省のお茶の品質は一流といわれています。
代表茶:采花毛尖・松峰茶・鄧村緑茶・恩施富硒茶・水鏡茗芽
四川省
四川省は広く険しく 四川省一つで四季があるぐらいの環境です その環境を利用して様々なお茶が生産され さらに茶葉古道などの雲南省と並ぶ出発地でした。緑茶から黒茶・黄茶等・お茶以外のお茶 苦丁茶等の生産も盛んです。
代表茶:峨眉毛峰・青城雪芽・蒙頂黄芽・川紅工夫・康磚・四川辺茶
浙江省
浙江省は古くから文化文明の先端であり 川も流れ交通の便もよく お茶流通の拠点で上海など消費地にも近く、また川が多いということは 名水 名山 名湖 などお茶を生産する条件にをすべてそろえた土地です。
中国緑茶の代表である龍井茶は浙江省省都である杭州市龍井村(西湖の西)で収穫される。龍井茶の名前は
- 西湖、獅峰、虎跑、雲栖、梅家塢、大佛、龍井 は集落名と龍井
- 雨前、雨後、龍井は収穫時期と龍井
等から付けられいます。
龍井以外に有名なお茶は:安吉白茶・開化龍頂・径山茶・恵明茶等
番外編:緑剣茶(英名:グリーンディスティニー 普通には販売されずかなり入手困難 ちなみに映画グリーンディスティニーの竹藪での演舞は 浙江省北部で撮影されたそうです)
江西省
江西省は南に福建 東に浙江 と二大地域に面するも山脈にがある為に独立性を保った文化が形成されます。
特に有名なのは方言で北部と南部と東部と西部ようは東西南北で違う、地理的に移動が難しく文化圏にも違いがあります。
お茶は緑茶が中心ですが、前述の通り 現在でも物流環境が良くないためにあまり輸出されておらず、中国国内でも入手困難なお茶が多い 一番有名なのは廬山雲霧茶です。
代表茶:婺源茗眉・雲林茶・白眉・双井緑
湖南省
かの神農のゆかりの地で 現代中国における重要な人材の輩出している地域です。米の生産も盛んで中国の主要な稲作産地でもあります。
北部は洞庭湖・中部は丘陵・南部は山岳となっており 内陸ながら亜熱帯気候に属しており、お茶の生産は中国国内第二位となっています。
生産されるお茶は緑茶・白茶・黄茶・紅茶・花茶・黒茶等様々なお茶があるのも特徴です
代表茶:古丈毛尖・白馬毛尖・湖南黒茶・千両茶・安化紅茶・安化松針・君山銀針以外多数
貴州省
貴州省は西に雲貴高原と呼ばれる雲南省標高2000mから湖北省に向かって標高1000mぐらいまでなだらかに起伏に富んだ高原に待っています。
貴州省の茶畑は標高1000m以上に点在し天候も亜熱帯ですが、広西方面からの湿った空気が雲貴高原にぶつかるため曇りの日が多い これを例えて「天に三日の晴なし」ともいい 湿気を含んだお茶の生育にはやさしい地域です。
貴州省と言えば健康茶の杜仲茶(茶以外の茶に分類)の原産地でもありますが、緑茶が有名です。
代表茶:都匀毛尖(毛沢東絶賛の緑茶)・緑宝石茶(佛珠茶)・湄潭翠芽・翠片・毛峰・雀舌・翠芽 等
雲南省
雲南省は省都の昆明では標高が2000mを超え、亜熱帯の気候ながら背後に香格里拉があるので一年を通じて春が続き「春城」と呼ばれることも
世界遺産も四カ所(麗江・三江・石林・澄江)カルスト台地と中国平均の4倍降る雨とが様々な文化を生み出し少数民族も中国最多の省です。
お茶的には普洱茶で有名な普洱市や茶葉古道の出発点の大理など独自の文化があります。
代表茶:普洱茶・雲南紅茶(金芽紅茶)・雲南毛峰等
※普洱茶はその昔 雲南省で収穫した茶葉を普洱市で集積しまとめて仕上げたため普洱茶の名前がつきました。現在では雲南省産=普洱茶の認識がありますが、改革開放以降さまざまな普洱茶と名前の持つ仕上げの違うお茶 緑茶に近いものから烏龍茶に近いもや紅茶なども普洱茶のかいりょうばんとして市場に出ています。
広西チワン自治区
ここ広西チワン自治区は旧石器時代から人間の活動記録があり現在でも少数民族が多数生活する地域ではあるが広東省から高速道路で数時間で移動でき、また桂林等を含む水源ゆたかな場所である。
ゆえに日系企業の進出も多く中国で有名な自動車等の重工業も盛んな土地
お茶の品種として広西茶という分類があるのだがあまり正確ではない、雲南省の雲南小葉種に近く品種に近いと思われるが、前述の通り少数民族が多く お茶の品種もかなりあるがどれも生産量は少なくまたお茶に関して研究も進んでいないように思う。
代表茶:六堡茶・昭平茶・西山茶・三江茶・龍茶・遼姑茶 等
広東省
広東省は南シナ海に面し香港マカオと隣接する中国産業の一大拠点です。歴史的発展は遅いのですが1979年の改革開放の大号令から飛躍的発展を遂げました。
気候的には亜熱帯と温帯の中間です お茶の話をすると東北部の福建省に隣接した潮州市にはタンソウ種と呼ばれる一大烏龍茶の産地・文化の発信地があり独自の淹れ方「潮州式茶芸」なども有名です。
作られるお茶はタンソウ烏龍茶や紅茶が主流ですが一部緑茶・普洱茶なども生産されています。
中国国内最大級のお茶市場があるのもココ広東省広州です。
代表茶:タンソウ烏龍茶・石坪緑茶・高山紅茶・東水山茶・莞香茶・雲大紅茶・広東普洱茶等
海南省
中国の最南端で北部は亜熱帯・南部は熱帯 南部海岸沿いの三亜市周辺は中国のハワイとも呼ばれています。唐代に鑑真が流れれついたのもココです。
海南省は島の中央に五指山(1840m)があり熱帯気候を利用した果物の生産も盛んで、お茶もそれらを利用したフレーバー紅茶なども また茶畑も五指山を中心とした高所にあります。
気候を利用してのコーヒー・ゴム・レイシ・龍ガン・ヤシなの特産物も ただ海南省は水力発電がメインで地方に行くと季節的には頻繁な停電も・・
代表茶:海南紅茶・白沙緑茶・海南苦丁茶等
福建省
日本人に親しみのある中国茶と言えば烏龍茶 その烏龍茶の聖地は福建省であることは間違えありません。沿岸部の中心に廈門(経済特区)北に省都の福州市さらに上に世界遺産「武夷山」は岩茶の里 廈門から西の「安渓」は鉄観音の里 福建省は全省がお茶の一大産地であり 烏龍茶・茉莉花茶・白茶・紅茶の生産もさかんです。
福建省は烏龍茶の里であり烏龍茶の歴史も一番古い 台湾や広東省で作られる烏龍茶も元は福建省から製茶方法や茶樹が移植されました。
代表茶:岩茶・鉄観音・烏龍茶・白茶・正山小種(ラプサンスーチョン)等
台湾
台湾は1800年代に中国福建省からお茶づくり・製茶法や茶樹が伝わりました。最初はうまくいかずに苦労もしましたが今では台湾北西・西・南西部の平地や山岳地帯(阿里山国立公園周辺)でのお茶の栽培が盛んです。特に標高800mを超える山々で作られる高山茶は台湾独自のものと言えるでしょう。
また台湾では茶樹の改良も進んでおり 品種的には20種程度ございます。これら品種は名前や収穫量・強さなどを検討して 最適な品種を選びながら使い分けされています。
烏龍茶以外にも紅茶や緑茶の生産もございますが台湾で期待するのは烏龍茶ですかね。その中でも台湾四大銘茶は有名です
代表茶:台湾四大銘茶(凍頂烏龍茶・木柵鉄観音・文山包種茶・東方美人茶)・日月潭紅茶等
中国茶の産地のまとめ
中国は広く温帯から熱帯までの気候をもち さまざまな地方文化でそれにあったお茶が飲まれ その数が絶対な品種がございます。
今回このページでは産地別の見方から 中国における代表茶の生産地の説明を書いてきました。
これらのページが少しでもお客様の台湾茶や中国茶のご理解にお役に立てば幸いです。